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コラム

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医療公告規制について【第四回】

第4回では、医療公告規制についてご紹介します。医療は、人の生命身体に係る極めて専門性の高いサービスであることから、公告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難です。そのため、医療公告に関しては、「医療公告ガイドライン」「医療機関ホームページガイドライン」を設けて、一定の規制を行っています。

1.広告の対象と規制内容

誘因性 利益を求めて患者の受診等を誘因する意図があること ×学術論文、体験談、新聞・雑誌の記事(但し、医院が費用を負担して掲載依頼する場合を除く)
特定性 医療を提供する者の氏名や医院の名称が特定可能であること
認知性 一般人に認知できる状態であること ×院内掲示、患者等からの申し出に応じて送付するもの

医療広告は、法令で広告可能とされている項目を除いて、原則禁止する「ポジティブリスト方式」が採用されていました。平成18年の医療法改正において、客観性・正確性が確保される事項については、できる限り広く広告事項とすることが認められることとなりました。これにより、現在では「ポジティブリスト方式」を維持しつつ、広告できる事柄を一定の性質をもった項目ごとにまとめて「~に関する事項」のように規制する「包括規定方式」が採られています。

【広告可能な事項 医療法6条の5】

  1. 医師又は歯科医師である旨
  2. 診療科名
  3. 病院又は診療所の名称、電話番号、所在地、管理者の氏名
  4. 診療にもしくは診療時間又は予約診療の実施の有無
  5. 法令に基づき一定の医療を担う指定を受けた病院若しくは診療所又は医師若しくは歯科医師である場合、その旨
  6. 地域医療連携推進法人の参加病院等である場合には、その旨
  7. 入院設備の有無、病床数、医療従事者の員数、その他施設・設備等に関する事項
  8. 医療従事者の氏名、年齢、性別、役職、略歴、所定の基準に適合した団体による専門性に関する認定を受けた者等
  9. 患者や家族からの相談・医療安全確保・個人情報適正取扱いのための措置、その他管理・運営に関する事項
  10. 紹介することのできる他の病院等の名称、施設・設備の共同利用状況、その他連携に関する事項
  11. 診療録の提供に関する事項等
  12. 当該病院又は診療所において提供される医療の内容
  13. 平均入院日数、在宅・外来・入院患者数、手術件数、分娩件数、平均病床利用率、セカンドオピニオン実績等
  14. 健康保険病院、船員保険病院、国民健康保険病院等である旨、健康診査・保険指導・健康相談・予防接種の実施等

2.禁止されている広告

以上のように、医療法上広告可能とされた事項に関して以外は、原則として広告できません。また、下記の事項については、広告することが禁止されています。

  1. 広告可能とされていない事項の広告
  2. 虚偽広告
    たとえば、「絶対安全な手術」は医学上証明できないため、このような表現は虚偽広告に当たります。
  3. 比較広告
    他の医療機関との比較はできません。たとえば、「NO1」「最高」等は他との比較の表現となるため比較広告として禁止されています。
  4. 誇大広告
    提供する医療や設備の内容等について、事実を不当に誇張する表現はできません。
  5. 客観的事実であることが証明できない内容の広告
    たとえば、患者や医療従事者の主観による広告は禁止されています。
  6. 公序良俗に反する内容の公告
    「命にかかわるため今すぐ受診」等リスクを過度に強調することは禁止されています。
  7. その他、品位を損ねる内容や他の法令、他の法令に関する広告ガイドラインに反する内容の公告等
    たとえば、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、 有効性及び安全性の確保等に関する法律)景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)等があります。

これらの禁止広告をした場合、立ち入り検査や広告の中止、内容の是正の命令等、処分、及び罰則の対象となりえます。

近年、とりわけ美容医療サービスによる国民生活センター(消費者庁所管)への相談が増加しています。
独立行政法人国民生活センターhttp://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/biyo.html参照)医療公告は、患者の診療選択の自由を手助けする一方で、不適切な情報によって患者が被害を被る危険をはらんでいます。一定の規制ルールを知ることで、患者にとって有益な情報を広告する機会が確保されることが望ましいでしょう。

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