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医療法について【第一回】

医療法は、1948年に制定された医療提供体制を定める法律で、医業を行うことができる施設としての病院、診療所等について定める医療施設に関する根幹法規です。医療法の目的は、医療を受ける患者の利益保護及び、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図ることによって国民の健康の保持に寄与することにあります。シリーズ初回の今回は、医療施設に関する基幹法である医療法について、その概略を見ていきます。

医療法が規定している内容
  1. 総則的規定(理念・定義)
  2. 医療に関する選択の支援等
  3. 医療の安全確保
  4. 病院・診療所及び助産所の開設・管理・監督等
  5. 医療提供体制の確保
  6. 医療法人

医療法は、8つの章と附則から構成されています。それぞれの章には、以下の内容が規定されています。

医療法の構成
第1章 総則 第1条~6条 医療法の目的、理念、国及び地方公共団体の責務、医療提供者の責務、医療施設の定義等を規定。「病院」「診療所」「助産所」等の定義を規定。
第2章 医療に関する選択の支援等 6条の2~6条の8 国及び地方公共団体、病院等による情報提供体制や入院患者への情報提供、公告規制について規定。
第3章 医療の安全の確保 6条の9~6条の27 医療の安全確保のための指針の策定や従業者に対する研修の実施等を規定。
第4章 病院、診療所及び助産所 7条~30条の2 開設の許可・届出についての規定。院内掲示義務や管理者の監督義務、医療施設の人員基準や施設の設置基準等を規定。
第5章 医療提供体制の確保 30条の3~38条 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保のため、医療計画及び医療従事者の確保等について規定。
第6章 医療法人 39条~62条の3 医療法人の設立、管理、解散及び合併の際の認可基準等について規定。
第7章 雑則 71条の2~71条の6 都道府県医療審議会の設置・運営について等規定。
第8章 罰則 71条の7~77条 医療法違反があった場合の罰則規定。
附則

医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならないとされています。この理念に従い、国及び地方公共団体は、国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めなければならないとされ、医師等医療の担い手は、医療を受ける者に対し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならないとされています。
医療提供に当たっては、具体的に以下の規定が定められています。まず、医師等に対して、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努める義務(インフォームドコンセント)や、医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携に資するため、必要に応じ、医療を受ける者を他の医療提供施設に紹介すること等に努める義務を設けています。次に、病院や診療所の管理者に対して、当該病院又は診療所を退院する患者が引き続き療養を必要とする場合には、保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携を図り、当該患者が適切な環境の下で療養を継続することができるよう配慮しなければならない義務を定めています。また、医療提供施設の開設者及び管理者に対し、当該医療提供施設の建物又は設備を、当該医療提供施設に勤務しない医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手の診療、研究又は研修のために利用させるよう配慮しなければならないとの義務を置き、先の理念に資するための医療の機会の確保、医療水準の維持を推進する義務を設けています。
このように医療法は、医療関係者に義務を課すことで患者に良質で適切な治療を提供する体制の維持を図っているのです。

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